木曜日, 3月 31, 2005

携帯電話に夢中


mobile phone 

 一週間前ぐらいに姪が歩き出したという。そして、最近、携帯電話に夢中らしい。携帯電話をもつと「はい、はい、はい・・」としゃべりだすという。兄の携帯には仕事の電話がよく入ってきていて、いつも「はい、はい、はい」と体育会系のノリで返事をしている様子をどうも真似しているらしい。携帯電話をもつと、こちらのはなしていることとは関係なしに、「はい、はい、はい・・」という(笑)。

 姪は一体なにを学習したのだろうか。携帯電話をもつということ。携帯電話を耳にあてるということ。携帯電話にむかって「はい、はい、はい」ということ。行動のレパートリーを列挙すればこれだけのことだが、報酬システムの視点からみれば真似ることによって生じる親との情動の交流もあるだろう。そしておそらく一番重要なのは「行為の型」の認識なのだと思う。さまざまな複雑な行動の組み合わせを1つの「行為の型」としてまとめ上げること。一歳の幼児の脳の中ではすでに行動のレパートリーの組み合わせをひとつの「行為の型」としてまとめることができる。これはヒト特有の世界をシンボルを通して認識する能力と関係があるのだろうか。でも人間が川で靴下を洗濯するのを見て、洗濯するのを覚えたオラウータンをみたことがあるな・・。

 脳のミラーシステムの研究から、他者の行為を見ているとき、脳の中にはその行為を真似たときに生成されるであろう運動コマンドが、シミュレーションされていることがわかっている。他者の「行為」と自分の「行為」の同一性をいかにして脳は保証しているのか?ということがおそらく一番重要なのだと思う。無数の差異を認識した上で、「同じ」にしてしまうということ。無限の組み合わせと無限の差異を含む行動レパートリーの中から、いかにして抽象的な「行為の型」を抽出することができるのか?他者の行為をみたときに、自分の行為として脳の中でシミュレーションするためには、さまざまな情報の圧縮と抽象化が必要だ。おそらくここいらへんのことが、今のヒューマノイドの研究で、次にできそうで、全然できないことなのではなかろうか。

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