木曜日, 11月 17, 2005

おしまい

SfNの日程が無事終了。

ポスター発表は、無事終わった。
いろいろ問題のある研究で、いろいろ有益な指摘をうけた。
いろいろ考えないとね。

SfNで得られる情報量は膨大だと思う。

理研のあつまりにいったら、
海馬のモデルをしている人と
解剖をやっている人に会って、
あの論文ってどうなの?ときくと、
ダイレクトにあれはだめだねーとか
あれはすごいよ!という返答が
かえってきて、この環境はすごいいいなぁと思う。

これくらい大きい学会になると
たいがいの脳の問題は、だれかがしっているはずで、
英語ができたら、もっとたくさんの情報が集められるはず
なんだけど、それができる英語力がない。
もったいないことをしていると思う。

自分の研究と結ぶつくようなはなしを
みつけることができたら、きっと、それは、
多様な生態系をもった情報の森のなかで、
きらきら光る青い蝶々に出会うようなものなのかもしれない。

学会会場で就活っぽいことをやる。
行きたい研究室の先生にただあいさつをしに
いっただけなんだけれども、いまのところ
ポストは空いてないらしい。グラントがとれたら
とってもいいよとはいわれる。

明日から三日間、NYにいってまいります。

金曜日, 11月 11, 2005

出発

北米神経科学学会出発当日。ワシントンDCへいく。
滋養壮強剤を毎日常飲して、ポスターの準備がなんとか終わって
いまはホッとしている。学会期間中に論文を仕上げなくてはいけなくて、
さらにもう一報かかなくてはいけない可能性大で、
まったく気がぬける状態ではないんだけど、楽しんできたいと思う。

追い詰められてふとわかったのは、”論理”のことで、
”論理”を理解するとかきくと、教科書にかいてあるようなすでに出来上がった
論理の構築物をイメージするけれど、ほんとうはそうではなくて、論理というのは、
混沌のなかから秩序をつくりだす能動的な行為のことをいうのでは
ないのかなぁと思う。だから絶対の論理というのは存在しなくて、
つねに実証にさらされていて、それがサイエンスというものなのだろう。

土曜日, 11月 05, 2005

どつぼ

SFN出発一週間前。
バタバタをとおりこしてジタバタしてる。
学会20日前に新しいシミュレーションを走らせていて
案の定、はまっている。

松岡正剛さんの「オートポイエーシス」のレビューをたまたま見つけて
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1063.html
オートポイエーシスのはなしがいまやっているシミュレーションと
シンクロしてきた。

オートポイエーシスの重要な考えとして、

産出プロセスのネットワークが構成素を産出し、構成要素が
産出するのは産出プロセスのネットワークなのである。つまり自己が自己
を生んでいる。まさに自己創出システムなのである。(抜粋)

というのがあるんだけれども、自発発火と可塑性の関係も

神経回路が自発発火を生み出し、自発発火が神経回路を変えていく

というある種の自己再帰性がある。
だから、自発発火によってそれを生み出している構造は維持できるのか?
というのがひとつの問題で、いまやっているのはそういうことなんだなと
ひとり納得する。

しかし、いつものとおり思考は発散して、

脳の活動が表象を産出し、表象が脳の活動をつくる

という言明にどれくらいの意味があるのか?ということを考えはじめる。
表象を生み出していることに関わっているであろう脳活動の存在は示せるけれど、
逆の、表象が脳活動に影響を与えているというデータは示せ得るのだろうか?

例えば、覚醒中の脳波と睡眠中(意識のない状態)の脳波のパターンは
あきらかにちがう。だから、覚醒中の脳波と意識の存在の間にはなにかしらの
関係があるといえる。そのとき、「表象が脳の活動をつくる」ということを
いうためには、きっと、生成されている意識が、なにから未知の因果法則によって、
精神世界から物質世界へ影響を及ぼすことで、覚醒中の脳波が
生み出されているということを示さなくてはならない。苦しい・・。

いまのところ、脳活動を支配する物理的な因果性はどこまでも物理的世界で
閉じていて、そこに表象や意識がうまれる余地が見あたらないというのがいまの
脳科学の大問題で、とりあえず、オートポイエーシスと意識の随伴現象仮説の話が
つながったところでこの思考はおしまい。

火曜日, 11月 01, 2005

わかっているのにできない脳

11月になった。10月はとうとう日記を一日もかけなかった。
わかっているのにできない脳状態。
とりあえず博士の予備審査はパスをして、でも学振はおちて、
投稿論文をかきつつ、学会のためにシミュレーションを走らせる。

カタチのないものをカタチにすることはむずかしい。
あるひとがクリエイターとは、ひよこからすごい卵料理を
つくるひとなのではないかといっていた。
エジソンは天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの汗という
名言を残したけれど、きっとその1パーセントのひらめきって
ひよこのようなものだったんじゃないかなぁと思う。

未来思考が重要だと思う。
未来とは直感と緻密なロジックによって予測しなくては
ならないものである気がしてきた。
その積極的な思考の組立ての過程のなかになにか得るものがある気がする。
お金がもらえるような、人のこころを動かせるようなことを
もっと意識的に考えないとね。