月曜日, 12月 31, 2007

一年を振り返って。


今年は一年が過ぎるのがとても速かった。

ぞっとするほど速かった気がする。

書きたいことはいろいろあったきがするけれど

書きたい衝動があったときに書かないとだめなことばかりで

それでも今年一年間を振り返ってみると

思考という名のオーケストラのなかで

通奏低音のようにずっとなっていたのが「価値」の問題。


価値とは相対的なもの。

そして人は成長の過程で特定の価値観を

意識的・無意識的に取り込んで

その価値観によりそって生きていく。

それで、自分の脳はいま

3つの価値観に反応していると思う。


1社会的価値観

お金とか社会的地位によって測られる価値


2業界的価値観

研究者ならば論文の数(インパクトファクターが高ければなおよし)

によって測られる価値

3真理的価値観

生命とは何か、意識とは何か、世界と何か、人間とは何か・・

などなどのいわゆるハードプロブレムに対する

貢献度によって測られる価値


この3つの価値を共存させること

そうするにはどうすればいいのか?がいまの自分にとって最大の問いで

3→2→1の順番でことが進むのが

一番自然なvalue chainだと思い

あたまをずっとフル回転させているわけれだけれど

どうもずっと空回りしているっぽい。

一方では、ある敷居値を超えれば相転移のごとく

一気に何かが進展するような気もするのだけれど

日の目をみるときはくるんですかね。



というわけで

どん底のときに思い出したい3つの言葉を書いて

2007年をおわる。


1どん底に落ちて八方塞がりになったら「底を掘れ!」 by 養老孟司

養老孟司 玄侑宗久 脳と魂


養老 その場その場で、それなりに満足してるっていうことですよ。まさに成就したんですかねえ。まあ、ダメならダメで「しょうがねえや、それで」って開き直れるんですよ。そういう生き方したほうが楽なのになあと思うんだけど、やっぱり多くの人は、「こうしたらああなる」「ああすればこうなる」で自分を窮屈にしてるんだ。だからね、どん底に落ちて八方塞がりになったら、「底を掘れ!」っていうのが大好きなんです。どん底に落ちたら、そこから先は上がる一方だなんて甘いこと言うんじゃねえ。「掘れ!」ってね。


2「自分の心細さとか不安だけを信じる」 by 保坂和志  

http://122.200.201.84/interview/archives/no136.html


3「バラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」 by スティーブ・ジョブス

スティーブ・ジョブス氏のスタンフォード大学卒業祝賀スピーチ

http://sago.livedoor.biz/archives/50251034.html

 もちろん大学にいた頃の私には、まだそんな先々のことまで読んで点と点を繋げてみることなんてできませんでしたよ。だけど10年後振り返ってみると、これほどまたハッキリクッキリ見えることもないわけで、そこなんだよね。もう一度言います。未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい、とにかく信じること。点と点が自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ずひとつに繋がっていく、そう信じることで君たちは確信を持って己の心の赴くまま生きていくことができる。結果、人と違う道を行くことになってもそれは同じ。信じることで全てのことは、間違いなく変わるんです。



月曜日, 12月 24, 2007

クリスマススペシャル覚え書き


先週の水曜日に研究室恒例のクリスマススペシャルがあって

今年のiPod touchは石川がさらっていった。

今年の石川の優勝作品はこれ。

Radical Qualia Fundamentalism

http://jp.youtube.com/watch?v=BKqWZXqrWAk


6年も参加してはっきりみえた法則は

同じことをしても勝てない

ということで、これは

マンネリ化すると飽きられるという

エンターテイメントの本質に由来することなのか

それとも毎年、若い人がそれまでになかったことに

挑戦するからなのかはわからないけれど

景品がいいから、モチベーションが喚起され

みなそれなりの脳力を投資してくるがゆえに

新陳代謝が生まれているという面はあると思う。


もうひとつわかっている法則は

投資した作業時間と作品のインパクトは比例しない

ということなんだけれど

これがなぜなのかはなかなか深い問題だと思う。

映画だってお金がかかっていても

おもいっきり駄作であることはよくあることで

エンターテイメント、おそるべし、だと思う。


ことしの作品はこれ。

interface


D

今までを振り返って思うことは、自分は

見ていて気持ちのいい動画とはどういうものなのか

ということに興味があって

これはもうアニメとかゲームの世界ではずっとずっと

追求されていることで

そして最近では、WiiとかiPhoneみたいに

より直感的な運動が織り込まれた

映像の気持ち良さというのが追求されている。


アニメは、かっこよくて思わず何度も見てしまう

シーンというのがあって

それは自分ではビジュアルドラッグだと思ってるんだけど

もしそのときの脳活動をはかることができれば

きっと、脳の報酬系が活動していると思われる。


そしてビジュアルドラッグたらしめている

理由というのを考えてみると

アニメは、中抜きという技術があって

実写ではありえないフレームとフレームのつながりが

アニメだと自由につくることができるから

映画だってフレームを切り張りすれば

現実にはありえない動きをつくれるのだろうけれど

アニメは脳内イメージをダイレクトに

絵にしていくというのが基本なので

(作画力さえあれば)どんな脳内イメージも

表現できるがゆえに、アニメは脳内にある

動きと脳内報酬を関係づける抽象的な

刺激-報酬のパラメーター空間を

なによりも自由に探索できる表現形態なのではないかと思う。

ゲームやパソコンのインターフェースは

そこに運動が加わってインタラクティブになるので

要素は増えているけれど、刺激-報酬の抽象的な

パラメーター空間を自由に探索できるという意味では

アニメと同じだと思う。


それで前置きが長くなったわけだけど

今年はいままでつくってきた動画たちをリミックスして

なんか見ていて楽しい、という映像を追求してみた。

個人的にパソコンのインターフェースは

思考における概念の運動に似てくるほど

脳は気持ちよく感じるという仮説があって

ようは夢みたいにほんらいつながりようのない

イベントがどんどんつながっていくというのが

究極のインターフェースになると思っていて

そんなようなものをイメージして

試行錯誤しながら動画を切り貼りしているうちに

いつのまにか上のような動画になったわけだ。

過去の作品の一覧:

2004: wherever window

http://i-mind.blogspot.com/2004_12_01_i-mind_archive.html#110380647167946948

http://jp.youtube.com/watch?v=OFF-pz-iHlY


2005: aha rat

http://i-mind.blogspot.com/2005_12_01_i-mind_archive.html#113501026848337663

http://jp.youtube.com/watch?v=AnKLmYWciVI


2006: 映像詩:海の一日

http://d.hatena.ne.jp/toooru/20061223

http://jp.youtube.com/watch?v=Xw54ofcNjQE:movie


水曜日, 12月 05, 2007

批評の脳活動


連続投稿のテスト


Di Dio C, Macaluso E, Rizzolatti G.

The golden beauty: brain response to classical and renaissance sculptures.

PLoS ONE. 2007 Nov 21;2(11):e1201.

をよむ。

著者たちは被験者に

もとは黄金比の彫刻のプロポーションをいろいろ変えた写真を

見てもらうことで客観的な美のパラメーターを、

実験条件で、美しいか醜いかを判断してもらう審美条件で

主観的な美のパラメーターをコントロールしている。

勝手な推測で、reverse enginering的な分析をすると

著者たちのいちばんのひらめきは

彫刻の黄金比を変えれば、客観的な美というものを

科学的に扱うことができるということに

気づいたことではないだろうか?

黄金比に着目することで、

単一のパラメーターで美をコントロールすることができる。

主な結果は

黄金比の彫刻とそうでない彫刻をみているときの脳活動の差が

客観的な美を感じているときの脳活動で

そのときは、さまざまな脳部位とともに右の島という脳部位が活動していた。

島は"feeling of emotion"、すなわち

感情を感じているときに活動することがいままでに知られている。

一方、審美的な判断をしているときは

ただ見ているときと比較すると、右の扁桃核が活動していて、

これはそれまでの経験によって形成された自分なりの価値を

計算していると考えられる。


もっとわかりやすい解説はここを参照のこと。

「美には生物学的な根拠」彫刻作品と脳の働きを実験

http://wiredvision.jp/news/200711/2007112623.html


個人的に面白いと思ったのは

ただ美術館に行ったつもりで"simply enjoy"な気分で見てもらうモードのときと

審美的な判断をしてもらうというモードでは

脳の活動のモードが異なるところ。

この結果は

作品をただ鑑賞するのと

批評を書くことを念頭において作品を鑑賞するのとでは

脳のモードが異なるという問題につながるのではないかと思った。

自分のことなんだけれど

自分がすきな作品は、自分のなかで理由なんか見つけなくても

好きだと確信できるけれどそれを他人にも共有してもらおうとして

その作品について批評しようとすると

途端に難しくなると最近感じている。

なにがいいのかを説明するのは結構難しい。

むかしゲームの雑誌でこんなインタビューが載っていた。


ー任天堂が任天堂であるところは「遊ぶ人はどう思うんだろう」って一歩突き進んで考えるところだと思うんです。

出石 できたものにケチつけることは誰でもできるんです。じゃあ、面白くするにはどうしたらいいって考えた時にちゃんと指示できる人は任天堂でも数えるほどしかいない。ユーザーさんは”クソゲー”って投げてもいいんですよ。でも僕らはこれでお給料貰っている訳ですから、商品に仕上げなければいけない。今まで自分が培ってきたもので、誰でも一本はソフト作れると思います。何人かにはウケるかも知れないけれど、ミリオン続けようとしたら、それは特別な人です。ダメだったらどうすればいいって言える人は少ないです。そのトップは宮本でしょう。あの人は理論家っていうか、何で面白いかを説明できるんですよね。いかなる理由で面白いのか、どうすれば面白くなるのかを。

ーそれは素質なんですか環境なんですか。

出石 環境もあるでしょうが、素質プラス努力かなぁ。センスとか感性とか鍛える事が難しいものも必要ですが、それに加えて、宮本はいつも一生懸命考えています。どういう風にして自分のもっているモノ、考えている事をみんなに伝えようかと。

「ダメだったらどうすればいいって言える人は少ない」

「何で面白いかを説明できるんですよね。」

「いかなる理由で面白いのか、どうすれば面白くなるのか」

というところがグッときて、

良いモノのどこがいいのか言えること、と

悪いモノのどこを直せば良くなるか言えること

は同じ能力なんだ!と思った。

そして良いところを言語化するというのは

自分が好きな異性のどこが好きなのか、その理由を説明することが

難しいのと同じくらいの難しい問題なのだと個人的に思っていて

たとえば小林秀雄がこんなことを書いている。


小林秀雄 考えるヒント

p200


そこから素直に発言してみると、批評とは人をほめる特殊な技術だ、と言えそうだ。


p201


 ある対象を批判するとは、それを正しく評価する事であり、正しく評価するとは、その在るがままの性質を、積極的に肯定する事であり、そのためには、対象の他のもとのとは違う性質を明瞭化しなければならず、また、そのためには、分析あるいは限定という手段は必至のものだ。カントの批判は、そういう働きをしている。


対象の良い性質を指し示す方法として

過去の記憶からそれと似たものを引き出し並置して

「○○に似ている」

というとか、比喩をつかって、

「まるで○○みたいな」

といって指し示したり、

または似ているけれど異なる性質を強調して、

「○○とはここが異なる」

という方法が挙げられる。

もっと分析的にここの曲線がいんだよ、とか

この構造が良さを生み出すんだ、とか

このメロディラインがいいとかと言う方法もある

けれど、そういうことができるのは

過去に接した類似した良いモノのサンプルの中から

その良さを生み出すための共通な法則を

すでに抽出できている場合に限られる気がする。

衝撃を受ける作品というのは

いままで出会ったことのないからこそ

その衝撃が生まれるわけで

そこには非線形なジャンプがある気がする。

そういうときに対象のいいところをどうすれば指し示す

ことができるのか?ということがいまの問題なんだど


でもそういう場合でもやっぱり

過去の記憶からなにかを引き出して並置させて

論じるしかないという気がする。

でもそうすると、比較できるものはないのだから

いくら似たものを挙げて並べていったとしても、

対象をとらえることはできないのではないか?

とここまで

審美判断のときの扁桃核の活動と

批評をしようとしているときの脳のモード

はなにか関係があると思って書いてきてのだけれど

この論文は美しい/醜いという審美的判断には言語は必要なくて

でも、批評の場合は、その審美的判断の根拠を

さらに言語化するプロセスが加わるから

じつは問題はもっと複雑で、脳が批評モードのときは

審美的な判断のプロセスと、それと似た体験の記憶を

高速かつ直感的にサーチしているプロセスと、さらに言語によって

そこにかたちを与えようとするプロセスが複雑にまざっているに違いない

と思った。


というわけで、審美的な判断と批評は、同じようで、異なるところがかなりあると

いうことに、ここまで書いてみて気がついた。

意味不明な結論ですいません。。

MRIの写真

fMRIのデータを解析しているオンゾウから

自分のMRIの写真をもらってプロフィールの写真を変更した。

イケてる

というよりかは

イッてる

感が否めないけれど

でもなんか一目で

脳に関するブログだとわかるところが

個人的にはいいと思う。


f:id:toooru:20071206002153j:image


オンゾウに解析したfMRIのデータをみせてもらう。

Sさんとは全然脳活動の傾向が異なるのだけれど

Tとおれの脳活動は同じ傾向が出ていて

こんなに似た部位が活動するものなんだぁと感心する。


火曜日, 12月 04, 2007

Firefox


ブラウザのなかで英語の辞書を使いたくて

ブラウザをIE6からfirefoxに変える。

FirefoxとIEとの違いって、タグで新しいページを

開けることだけだとずっと思っていたけれど

ユーザーが機能を自由に拡張できるアドインの便利さにびっくりする。

firefoxがリリースされて数年たっているのに

いままで一度もfirefoxを試そうと思わなかったのは

なぜなのだろう?と思う。


とりあえず辞書関係でいれたアドイン。

Mouseover Dictionary

http://www.forest.impress.co.jp/article/2006/10/26/mouseoverdictionary.html


英辞郎のデータがあれば、ウェブページ上にカーソルを当てるだけで

英和の訳が見られる。

Answers.com for Firefox (for Windows, Mac and Linux)

http://www.answers.com/main/firefox_plugins.jsp

Altキーを押しながら単語をクリックすると

英英辞書が開くアドイン。

ついでに

Greasemonkey+GoogleAutoPager

http://la.ma.la/blog/diary_200506231749.htm

グーグルの検索ページで下にスクロールしていくと

自動的に次ぎのページを継ぎ足してくれるアドイン


あと、はてなのブックマークをはじめた。

http://b.hatena.ne.jp/toooru/

面白いと思ったのは

*usersというところをクリックすると

自分がブックマークしたページに対する

他の人のコメントの一覧が見られるのだけれど

見てみるとポジティブなコメントだけでなく

つまんないなどのネガティブなコメントも結構多いこと。

つまんないならブックマークすんな!と思ったりもする。

RSS ReaderとしてGoogle Readerを使いはじめた。

いままではHeadline-Reader Liteという

RSS Readerをつかっていたのだけれど

Google Readerの良さに気づく。

海外に脳科学を専攻している人のブログが

たくさんあることに気がついて

論文の情報源になりそうなものは片っ端から登録している。

おすすめはこれ。

http://www.mindhacks.com/

このブログからたどっていくといろいろなサイトに出会える。

日本語でこういうブログ・サイトをつくれたら需要がありそう。

そして、いままでIE6をつかっていたことが腹立たしくなってきて

それが連鎖して

Outlook Expressのスパムメールに対する無力ぶりにあいそがつきて

徐々にだけどメール環境をすべてgmailに移行することを決意。

hotmailをgmailで読み込むことはできないようなので

hotmailに来るメールをどうやってgmailに移行するかが目下の課題。


あと携帯をauのinfobar2に買い換えようとしたら

携帯の値段が上がっている!

26000円は高いなー。さらに一年以内に換えると18000円のペナルティーつき。

来年もしiPhoneが出たら速攻でかえるつもりなので

それまで待つべきか。。