木曜日, 7月 14, 2005

飛人


Piet

Piet Hutが研究所にきた。
日本語では初都(ハット)飛人(ピート)とかくらしい(笑)。

プリンストン高等研究所で天文学の研究をしていて(いまは認知科学の研究もいしているらしいが)、一年のうち半分は共同研究で世界中の研究所に滞在しているのだという。なんてすばらしい生活スタイルなんだ!

トークを聞いた。

サイエンスが扱っているのは客観的に記述できる現象。そして、いま脳科学が扱っているのは客観的に記述できる主観性。でも、私はつねに誰とも共有できない<私>という体験をずっとしているわけで、それをPietはAppearanceとよんでいた。このAppearanceを科学的に扱うことこそが次世代の科学がプレイクスルーしなくてはならない目標なのだという。

17世紀にニュートン物理学がうまれてそのあと150年かかって、熱力学や熱力学第二法則が生まれた。その間の150年間、人々は、日々コーヒーにミルクを入れたときに広がったクリームが決して元のミルクのかたまりに戻ることはないという不可逆的な現象を目のあたりにしながら、それがニュートン物理学では説明できないことに気がついてなかった。それは現在の、意識はいまの科学の枠組ではまったく扱えてないのだけれど、ほとんどの人はそれがいかに深刻な問題であるかということに気がついてない状況に通ずるものがあるという。

未来の科学はいまの延長線上ではないところにある。しかし、今のところ、それがどーいうものであるのかは、過去にもとづくアナロジーでしか推測することができない。しかし、そこはかならず存在する。そして、そこに行こうと絶えず意識しなければ決してそこにたどりつくことはないのではないか。そういうはなしだった。

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